八王子の饂飩・蕎麦2


其ノ21「高尾の桜」
高尾イーヤスの蕎麦店。自然薯と長芋の差異は?
よく利用する高尾の施設の極近隣のイーヤスの中に「高尾の桜」があり、よく通りがかるのだが、利用した事がなかった。たまたま時間と空間、腹具合が合致し、初めての入店。割合高めと言う事で避けていたのだか、ランチ定食で何とかcomma無しコースがあったからでもある。但しギリギリである。
天麩羅と自然薯コースの選択があったが、嗜好的には天麩羅だが、店の看板に「自然薯」を挙げており、日本産山芋と言う事が売りらしいので、自然薯コースとする。
麦飯増量可と言うので、それをお願いしたものである。
自然薯は味付け済みであり、とろろ麦飯となす。だから「トロロ蕎麦」ではなく、あくまで「小かけそば」である。
「かけそば」はかなり小さいのは少し残念。ともあれ問題ない関東風の蕎麦の美味しさであったと思う。
普通の長芋と自然薯の差異……。自然薯の方が一般に粘りが強いと言うことであるが、味の差異までは食べた個体数が少なすぎてよくわからない。






其ノ22 「たまの里」高尾駅南口駅前
 待たされるのは良しだが
高尾駅南口駅前に蕎麦と居酒屋の店「たまの里」がある。数年前、稽古後に居酒屋として利用し、最後の締めに「かけ蕎麦」を頂いた事がある。昼間はランチ営業している様であり、先般通りがかりにランチを頂いた。
かき揚げミニ丼とおろし蕎麦セット。やや待たされたが、蕎麦、饂飩店で待たされるという事はちゃんと料理しているという事で、これはよい。麺は茹でたて、天麩羅は揚げたてという事なのだろう。
蕎麦は(ミニではなく)ちゃんとした量があり、これは中々よい。機械打ちの既製麺かと思うが茹でたてで、概ね麺よし、オロシの付く事もよし。出汁は少し薄めという感じがしたが、やはり関東系の出汁である。出汁の事に関しては関西系出汁とは比べる事が出来ない。ただ超絶的に美味しい関西出汁と言っても現代では大阪、神戸といえども本当に極少の店のみである。
蕎麦屋と言っても色々なランクがあるので、一応分別しておこう。それはコスパや美味さの事なのではなく、店の自体のスタイル、料金ランクの分別である。
即ち所謂一般普通店をB、セルフ店をC、やや高級店をAとするとこの店はBクラスの店という事である。
またやや高級店のその上に超高級店の店もあり、これはSクラスの店と位置づける。高尾はこのA、Sクラスの蕎麦店が結構あり、地域を周遊すると結構見かける事が多いのだが、このクラスの店には殆ど訪れた事がなく……これからも訪れる機会ありやなしや……?






其ノ23「おかあさんのうどんそば」西八王子駅北口
B級スタイルの店だが、値段はC級
西八王子駅北口から徒歩数分。狭いカウンターテーブル式の大衆食堂的店であるが、店名は「饂飩・蕎麦」を謳っている。
試しに入店。メニューをみるとセルフC級に迫る安さである。「キツネ饂飩」四百円を注文。量はセルフ店の大盛りに近いから、その意味も含めてかなり安い。
麺は茹で置きかと思ったが、出汁は妙な甘みもなく、バランスのとれた感じである。関東風と思われるが、それほど濃口醤油臭さはない。キツネ揚げも中々よい味である。ランチメニューが特にない様であり、それは少し残念。




其ノ24「じんそば」西八王子駅北口
昔ながらのセルフ店。ゾンビ系。セット、朝蕎麦系がないのは残念
西八王子駅北口辺の殆ど唯一のセルフ系蕎麦店である。初めてではなく、多分二、三回目位。竹輪天蕎麦で280円。確かに安い。早朝訪れたが、朝セット系サービスはどうもない様である。麺はゾンビ系であるが、出汁は関東出汁としてはそこそこのレベル。おそらく昔ながらの独立系の店なのだろう。多くのチェーン系は流石にゾンビ系から生蕎麦茹で置き式に転換しているのに今だに昔式である。
しかしかくしたゾンビ系蕎麦をかき込んでで都心に仕事に向かうサラリーマンたちは本当に大変であろうかとは思い、ペーソスを感じる。亭主が激務に勤しんでいる間に恐らく有閑女房殿たちは西八王子近くの「山泉」や「座忘」「陶山」等にて高級ランチをいただきながら歓談を楽しんでいるという事なのだろう。ジェンダーフリー政策は現代の日本において、逆転的意味合いにおいて確かにかなり必要かとは思うのである。




其ノ25「富士蕎麦」八王子駅北口
かなり美味くなったが。
八王子駅辺朝時間での軽食として、北口左横の「富士蕎麦」に入店。ずっと昔東京に出てきた時、新宿の「富士蕎麦」を食べて、我の関西舌に合わず、かなり困った記憶があるが、それから半世紀ほどの時間が流れ、富士蕎麦の内容自体も若干進歩してきた様に思う。勿論大きな違いは生蕎麦の茹で立て……いや客をみての若干の茹で置きではあるが、昔々に比べれば大分進歩である。
「ゆで太郎」は細麺晒系を用いる事で、何とか茹で立てを実現している事との差異だろう。富士蕎麦系は普通の太さの麺であるので、速茹でが少し難しいという事なではなかろうか。
「ゆで太郎」より少し醤油味がきつく、この点も関東風。
ともあれ朝蕎麦や朝食セットがあるのは便利。ただ「ゆで太郎」と違いサービスクーポン券とサー天(サービス天カス)がないのが少し残念。





其ノ26「日野屋」日野駅西口ロータリー
あっため死に体麺で無くてよかったが……?
現在では都下でもかなり便利になったが、やはり八王子では入手の難しいものが幾つかある。新宿の便利さは格別ではあるが、それをある程度補填する為に八王子の近隣に大繁華街として立川市を利用する事もある。クロスバイクでいけばそれほど遠方ではなく、時々用足しにでる。立川には東京ハンズがあり、また世界堂があり、また大型レンタル店ツタヤ等があるから……。
そして立川に向かう途中に日野市があり、日野駅で立ち食い蕎麦でエナジー補給をなすこととした。日野駅西口側のロータリーの、正に立ち食い蕎麦店「日野屋」である。単なるあっため蕎麦の可能性を感じつつ入店してみると、ここは冷凍麺で、何とか腰のある蕎麦を頂く事ができた。出汁はやや甘口。それほど醤油味も強くなく頂きやすい感じである。天ぷら蕎麦を頂いたが、天ぷらは少し残念な感じ。やはり生蕎麦と揚げたて天ぷらに拘る店はそれだけ偉大と言う事かと感じられた事である。




其ノ27「なかや」立川駅南口
普通が大盛り、本科の器
世界堂で大判和紙を購入に八王子から立川へ。クロスバイクで一時間ほどくらいで、確かに近隣である。立川で地元うどんでもと思って、「武蔵野うどん/こぶし」と言うのに活きたかったが、どうも駅構内にあるらしい。仕方がないので南口まえの立ち食い蕎麦「なかや」で朝食と言う事になった。店前から鰹節の香りがしたのは良い幸先である。天ぷら蕎麦を頂く。出てきたものを見ると器は本科の瀬戸物で、蕎麦の量的には割合多いのは良い。かき揚げ天ぷらはやや小さめだが、何とか店で揚げているようである。
出汁は香りはあったがかなり甘め系の出汁。黒出汁も含めてこれが関東風と言う事なのだろう。蕎麦麺は少し変わった平打ち麺で割合美味しい。うっかりして造りの手元をみなかったが、すぐに出来上がった事を鑑みるとあっため麺か? しかし割合麺自体は美味い。確かめてないが冷凍麺なのかもしれない。
しかし思うに生蕎麦をちゃんと茹でて出す「ゆで太郎」はやはり偉大かと思うのである。「ゆで太郎」は割合細麺なので、余り茹で置きしない点はよい。
冷凍麺もそこそこ美味いのだが、生蕎麦には敵わない。




其ノ28「香川一福」立川駅南口
セルフ店にしては少々高いが流石に美味い
武術秘伝書製作の為、必要品購入する用事で、立川入りする事多し。八王子に比べるとだいぶ大きな繁華街であり、商品も多様である。この差異はモノレールが繋がっているという便利さにも一因があるのかもしれない。
ともあれ昼のエナジー補給として、久しぶりに美味しいうどんを食べたいと思ったが同地ではかなり難しい。武蔵野うどんの「こぶし」は駅構内だし……と逡巡すると南口辺に「香川一福」がある事を確認。たまには讃岐饂飩でもと思って入店。大分昔になるが、神田の「香川一福」には何回かいった記憶がある。しかし昔過ぎて味は余り覚えていない。
ともかく「かけうどん」を頂いたが、麺も出汁も讃岐系として、中々のレベルであり美味しく頂いた。
麺は流石に讃岐だけあり、中々の腰だが、少し武蔵野うどん的な感じもある。本来的な讃岐ならば「プルンプルン、プチ」という感じだが、割合関東的な少し「細麺」かつ「剛麺」的な感じ。
ただ出汁は関西出汁とは異質ながらある程度美味かった。
久しぶりに西国系の美味しい饂飩という事で、これはこれでよいのだが、セルフ店としては割合高めなのが玉に疵。「杵屋」や「家族亭」に迫る様な値段、いや実質上「杵屋」より高いかも。




其ノ29「片柳学園 第三学生会館食堂」八王子みなみ野駅(多分西口方面)
待たされたが、揚げたてのかき揚げ天麩羅の大きさに驚き
材料資材を購入の為、八王子みなみ野駅前のホームセンターにいったついでにエナジー補給と思ったが余り我の入れる様な店がない(好き嫌いが結構あるので)。
ただ市民センターみなみ野分館によると一階は「片柳学園 第三学生会館食堂」となっている。つまり学生食堂という事であるが、メニューをみると饂飩蕎麦があったので、入ってみた。饂飩か蕎麦かで迷ったが、死に体のウドンを食べさせられてもと思い(東京の饂飩蕎麦店では、蕎麦は生蕎麦でも、饂飩は温め死に体饂飩を食べさせられる事が多い)、蕎麦の方、そして「かき揚げ天麩羅蕎麦」を注文。学生食堂の事であり、蕎麦も温め死に体蕎麦の可能性ありと恐れたが、「ちょっと時間がかかります」といわれてにんまり。生蕎麦の茹でたてを頂けるかと期待したら、手元を見ていくと冷凍庫から冷凍蕎麦を取り出していた。なるほど冷凍蕎麦系かと納得はしたが、それならば何故に時間が掛かるのか?という新たな疑問が浮上した。
ともあれ、若干の時間経過の後呼び出されて見てみると。かき揚げ天麩羅を別皿盛りで提供。つまり天麩羅揚げたてという事であったが、びっくりはそれだけではなく、その天麩羅の大きさには驚いた。写真の通り。値段に見合わぬ価値ある逸品である。そして冷凍麺もよし。出汁もまあまあ。コスパーは中々よいと満足した事である。
町のセルフ系店ではせっかく天麩羅蕎麦と奢っても、ショボいかき揚げが出てきてがっかりする事がある事に比べて、流石に学生食堂だけの事はあるとは思った事である。



●令和二年一月十五日
再度訪れ、今度は「かき揚げ饂飩」饂飩麺も出汁も概ね想像通りの味と質。多分既製品としての冷凍麺や規格品としては出汁つゆ等を使っているのだろう。関東出汁もそれなりの良い部分もあるが、香りの部分ではとにかく関西出汁に及ばない様に思う。ただこれも関東出汁における製造上の一つの特徴であるのかも知れない。
ただかき揚げは確かに大きい。同食堂の何かの拘りであるのだろうか。




其ノ30「八農菜」八王子滝山街道道の駅
滝山街道のサービスエリアの饂飩蕎麦
天然理心流調査の為に何度か通った滝山街道であるが、純心女子大学の近く「道の駅」なるサービスエリアがある。地元野菜や色々な産物の販売と共にセルフレストラン「八農菜」があり、メニューに饂飩蕎麦があったのでエナジー補給する事とした。
「かけ蕎麦」と「かやくご飯」を注文。天カスがサービスなので「狸蕎麦」と同じ。
調理の手元はみてなかったが冷凍蕎麦と推察。ともあれそこそこの美味しさであり、値段も場所からみても先ずは妥当だろう。写真によると関西風らしいので機会があれば「かけ饂飩」を試してみたい……いや、止めた方が良いのかも? 関東で関西風饂飩を試してもがっかりする事が極めて多いのだから。



令和二年三月二十五日「道の駅の関西風饂飩/やはり止めておけば良かった」滝山街道「道の駅」
再び立ち寄った時、宿題である関西風饂飩を注文。蕎麦の味済ではあったが、やはり予想通りの出来合いものの内容。調理はみていないが、既製品の冷凍饂飩麺に企業製の調理出汁(多分)。
分かってはいたが関西系饂飩となると試してみないとおられない。
ともかく結論としてはちゃんとした上方饂飩を食するには寧ろ時分で調理した方がましと言う事だろう。





其ノ31「昌久」元八王子町
機械打ちと手打ちの差別
高尾街道の終着近く、元八王子町における手打ち蕎麦屋である。同街道を何度か通って存在は認識していたが、たまたまの通りがかりで初めての来店。普通の蕎麦屋はどこでも多くあるが、チェーン店的なものは余り心が惹かれない。やはり「手打ち」と地元の独自店という事で選択したい。しかし余り高級店は流石に入りづらい……。ここはそれほど高級でも無いような……。「ランチ」的なものがあればと思ったが、セットメニューをみるとすべてcomma付き。一番安価という立場で「かけ蕎麦」という事にしたが、それにも「手打ち」の選択肢があった。それ以外は多分機械打ちという事なのだろう。値段がそれなりに違い、これは「差別だ」と思ったが……。
我としては「手打ち」にはそれほど拘りなく、茹でたてであれば機械打ちでも可なので、それを注文。
やはり本物の蕎麦は良い。冷凍蕎麦は確かにある程度美味しいが何かが足りず、食べたあと、物足りない部分が残り腹が何故か直ぐに空く。




其ノ32「丸亀製麺」秋川街道と高尾街道の交差点
関西饂飩と讃岐饂飩
八王子市役所辺から秋川街道を北に、川口図書館を向かう途中に「丸亀製麺」あり。久しぶりに西系饂飩でもと思って入店。丸亀製麺は関西饂飩でもなく、純粋な讃岐饂飩でもないような微妙な立位置。しかし一応店名も含めて「讃岐饂飩」を標榜する店である。
確かに関西出汁とはいえず、讃岐系の出汁……。しかし「麺通団讃岐饂飩大使」の様な強烈なイリコ出汁と言う程でもなく、幾分優しい出汁である。
ともあれ開店一番で入店したので、麺は十分に活きていた。帆立て天ぷらとかけ饂飩並で頂く。
思うに本当にここしばらく(何年か?)まともなA級以上の関西饂飩を食していない。関東では所詮は無理な願いであるのかもしれない。




其ノ33「手づくりうどん民芸」めじろ台南口
関西饂飩風ではあるが、麺は一反木綿付き。
椚田にある施設で稽古の後、皆と食事でもと思って訪れた。初めての入店である。ファミリーレストラン風の饂飩屋と言う感じであるが、「手造り」とはなんだろう。「手打ちではないが……」と言う意味なのだろうか? しかし我もそれ程手打ちに拘っているわけではないのでよいだろう。
メニューをみてみると余りシンプルメニューが見当たらない。つまり最も基本ともいえる「素うどん」的なものがみあらず……。しかし店員に訊いてみると写真はないが、ちゃんと存在した。「黄金のだしうどん」と言う名称のものが素うどん的な選択であるらしい(天カスがついてきたのも関西風)。そしてかなり安めなのはよい。
「黄金の出汁」と言うのはつまり……。と思って出来てきたのをみると期待通り関西系の饂飩だった。香りもそこそこある。麺はと見ると一反木綿付きぴかぴか饂飩。と言う事はちゃんとした手打ち? いやこのぴかぴか感から鑑みると機械練りかと思われる。一反木綿付きと言う事は麺切り作業が手作り? いや機械切りでも出来ない事でもないような……。しかしそんな事はどうでもよく、要するに美味ければよいのである。
全体的には味は関西風でこそこそよくできた饂飩であり、値段も安めなのは結構である。
ただ麺自体はやはり関東風のグルテンの大目の麺の様に感じられる。そして出汁もそこそこよいが勿論超絶的な関西出汁とは今少し距離がある様である。
八王子における関西饂飩といえば以前は八王子駅辺に「家族亭」と「杵屋」があったのであるが、現在は両方とも閉店していた。関東では関西饂飩は根付かないと言う事なのであろうか……? 残念。




其ノ34手打ち蕎麦「つくし家」陣馬街道
手打ち蕎麦なのに細麺でかなり美味しい
西八王子から陣馬街道を上り、元八王子市民センターを少し超えた所位に手打ち蕎麦「つくし家」がある。ここも数年前に一度入った事がある。年末に通りがかり二回目のランチ。多分前回と同じく「狸蕎麦」頂く事に。麺は細麺で出汁も関東出汁だが両方とも割合よし。手打ち蕎麦なのに存外美味しい……。
美味しさの根源は余り「手打ち」部分にはないように感じられる。要は「蕎麦粉」の産地や、また粉の引き方、手間のかけかた等が重要ではあるだろう。ここは蕎麦、粉引き、本山葵、山芋等にもかなり拘った店の様でセット的ランチなども頂いて見たいが流石にcommaがついてしまう……。




其ノ35「田吾作」北八王子駅東口
辺鄙な場所の路麺店であるが、工場員たちの便利な簡易食堂か。(令和二年二月五日)
北八王子駅を東側に出て北にやや進んだ右側に店がある。こんな所にと思うような辺鄙な地であるが、ちゃんと暖簾が掛かり、前は駐車場となっている(店の駐車場かどうかは微妙、不詳?)。となると少し山手の高級店かと言うとさにあらずで、所謂路麺店的な店である。ただ勿論所謂立ち食い蕎麦屋ではなく、カウンターとテーブルがあり、食券自動販売機も使っていない。お冷やもセルフではなく、食器もその儘おいたし(カウンターだから)、食器類もちゃんとした焼き物。その意味ではセルフサービス店とも分類しがたい。
しかし営業時間(朝8時より)や値段、提供する饂飩蕎麦の内容はやはり路麺店的な感じであり、やはり路麺店としては紹介しておきたい。
メニューをみて、無難に「天ぷら蕎麦」を頼んだ。値段から想定できたが、やはり揚げ置きかき揚げ天ぷらと湯通し麺。一応ちゃんとした瀬戸物丼での提供であり、量はたっぷりあった様に思う。麺は湯通し死体麺ではあるが、それを補填する為か出汁の甘みの強い濃厚な味。これは確かに昔風の立ち食い蕎麦の味である。
北八王子は様々な企業工場が集中した地帯であり、会社員、工場員等の簡易食堂的なニーズに支えられた店かと思われた。




其ノ36「徳兵衛」大和田辺
蕎麦と饂飩の価格格差が可哀相(令和2年2月13日)
大和田辺、甲州街道から折れ曲がり石川に向かって上がる途中、少し右に折れる辺りにある手打ち蕎麦屋。石臼製粉等の製法に凝った蕎麦屋であるが、饂飩もある。やはり少し高級店の様である。「かけ」系以上を頼むとcommaが付いてしまうのでやはり「かけ蕎麦」注文。「かけ饂飩」も同じかと思ってメニューを確かめると値段格差がすごい。これは……饂飩の方は「手打ち」ではないのかと疑問符が生じた。看板には「手打ちそばうどん」となっており、そばとうどんとの間に区切りがある可能性もある。それとも元粉の差異なのだろうか?
ともあれかけ蕎麦。やはり濃い口醤油の香りの強い関東出汁である。関東出汁は出汁素材の香り少なく、素材種類も単純な感じが強いがこれは関西出汁の立場からの見方なので、関東出汁としてはこれでよいのかも知れない?
ともあれ蕎麦自体はは流石に蕎麦の香りがあり、国産の良い粉を使っているのだろう。ただ少し麺に腰がある系ででない事は気にかかった。
次ぎに機会があれば「かけ饂飩」を食してみたいと思った事ではある。




其ノ37「櫻井蕎麦處」陣馬街道恩方
普通の蕎麦屋さん[令和二年十月三十一日]
高尾街道を東北に行き、陣馬街道で北に折れゆき、また左折れをした恩方辺に「櫻井蕎麦處」と云うのがあったのでエナジー補給。特に「手打ち」とめい打っているわけでない、普通の蕎麦屋である。場所柄的に高価かと思ったが、単品蕎麦のみならばそれほどではないようである。狸蕎麦を頂く。機械打ちかと思うが一応茹でたて。薬味はネギに柚子皮などが添えられてそれなりの高級感はある。






其ノ38「さと山うどん」町田街道川尻八幡宮の裏手
関西風ではあるが[令和二年十一月十四日]
町田街道を南に進み大戸交差点で右に折れ川尻に向かう道路に入り進み行くが、進行する時はわからなかったが、川尻辺から高尾への戻り道、川尻八幡宮辺の左手に「うどん さと山」の案内看板がみえたので脇道に入って標識の通りに進むと同店があった。「何饂飩(東系西系か?)だろう」と思って、とにかく入店してランチ。
里山饂飩定食的なものがあったので其れを注文。即ち素饂飩と天丼のセットである。
天丼良し。饂飩麺良し。出汁は関西風であり、饂飩麺もピカピカの西国系である。
ただ出汁は確かに関西風ではあったが、あくまで関西風であり、それなりには美味しいのであるが、純関西の味わいと香りにはかなり遠いものがある。関東と関西では水そのものが違うので関東では関西出汁は難しいのかもしれない。






其ノ39「福生十割そば」奥多摩街道熊川
最初で最後の試食となる[令和二年十一月二十一日]
場所は奥多摩街道の熊川辺。前から通りがかる事も多かったが、昼時時間にあわず、頂く事がなかった。同日は時間もぴったりとなり、エナジー補給。
比較的大きな一般店ではあったが、自動切符販売機制になっており、若干は安めと云う感じである。かけ蕎麦を頂く。食材はかなり細かい点まで吟味し、全て日本産を用いられているようである。関東式の蕎麦であり、しっかりした麺と出汁である。どういうわけか天麩羅系がなく、よって天カスもない。ただ葱が入れ放題だった。
関西出汁ではないが、それなりには満足して退店しよとしたら出入り口ドア辺に閉店のお知らせ文の張り紙があった。令和二年十一月二十六日で閉店と云う事であり、これが最初で最後の食事となるだろうかと思われた。






其ノ40「久兵衛」城山
立ち食いより安い[令和二年十二月七日]
狭間からめじろ台の間に「久兵衛」なるうどん屋がある事はわかって居たが、場所と時間帯が上手く合わず、絶えて行く機会がなかった。手打ちと言うわけではなさそうだが、「茹でたて」と言う宣伝文には大分心引かれていた。寿司屋はともかくうどん屋の「久兵衛」は初めてである。余人から饂飩や蕎麦も含め、天麩羅等が結構美味しいと言う話も頂き、そしてネットで調べると関西系の饂飩の様に見えるので一度はと思っていたが、どうも時間帯的に合致しないのである。
永く心に引っかかっていたが、それも何となく忘れた頃、町田街道を下り、川尻、そして橋本に行く途中、城山支店の「久兵衛」があり、丁度時間帯にランチ時間に合致し、腹ぐあいも丁度良く、入店。値段は中々安め。立ち食い蕎麦屋に迫る値段である。
最低限のかけ饂飩の大盛りとミニかき揚げ天丼のセットを注文。
やや時間が懸かるのは確かに茹でたてという事なのだろう。麺良し。出汁も関西風。但しやはり「風」ではあった。麺はやや太めで関西の繊細なそれではなく、少しゴワゴワした関東風との中間位。出汁の香りと言う点ではやや不満も遺るがコスト的にはかなりの良店かと思われた。
天麩羅が値段もこなれ、結構よいと言う話もあり、機会があればまた食してみたいとは思った事である。





●祝祭日は少し高い?[令和2年12月27日]
同店における蕎麦や天麩羅も食べたいと思っていたが、同日たまたま通りがかったので「めじろ台」店の方によってみた。城山店では結構安いと思っていたが、同日が平日ではなかった為か、ランチメニューがない。仕方がないのでともあれ天麩羅蕎麦大盛りを注文。一応これで天麩羅も食べられる。しかし値段は普通の蕎麦屋の値段である。同店は蕎麦の方がやや高め。恐らくちゃんとした蕎麦粉を使っていると言う事だろう。
若干の時間を経て出てきたものをみると蕎麦は正に関東系の蕎麦と出汁だった。時間がやふかかったのは揚げたてと言うなのだろう。衣はサクサクして結構美味しい。
蕎麦は江戸の細切り、更級と言う感じではなく、田舎蕎麦的な感じ。出汁は節粉を入れタイプ的な濃厚な味である。少し不満なのは大盛りなのに感じとしては普通盛りと言うレベル。すると並盛りはかなりすくないのか? この点は少し不満には感じられた事である。